AIの学習と予測について
「AIが予想する」と言われても、中で何をしているのかが分からないと信用のしようがありません。
このページでは、KeibaFactorAIが行っている学習と予測を、専門用語をかみくだいて説明します。
ひとことで言うと
過去のレースで「どんな馬が上位に来たか」の傾向を数式にまとめ(学習)、その数式に今日の出馬表を通して着順を見積もる(予測)。やっているのはこの2つだけです。
1. 集める
予測したい開催日の前日までの1年ぶんのレースを、出馬表と結果をそろえて読み込みます。1年でおよそ3,400レース・4万8千頭ぶんのデータです。すべてJRA-VANデータラボから取り込んだものです。
2. 学習する
「前走の着順」「近走の平均着順」「騎手の勝率」「斤量」「データマイニング予想順位」などの項目と、実際の着順との関係を、コンピュータが繰り返し計算して数式にまとめます。
3. 予測する
できあがった数式に、その日の出馬表を通します。出走する馬それぞれに点数が付き、点数の高い順に ◎〇△×56… が決まります。
AIの「学習」とは何をしているのか
人が競馬を覚えるときも、たくさんレースを見て「前走で好走した馬は次も走る」「この騎手はダートで強い」「長期休養明けは割り引く」と法則を覚えていきます。
AIの学習はそれを、人の感覚ではなく数字の積み上げでやっているだけです。
学習に使うもの
| 用語 | かみくだくと | KeibaFactorAIの場合 |
|---|---|---|
| 学習データ | お手本にする過去のレース | 予測する開催日の前日までの1年ぶん。古すぎると今の勢力と合わず、短すぎると数が足りないため、初期値を1年にしています(月数は変更できます)。 |
| 特徴量 (とくちょうりょう) |
判断材料。AIに見せる項目 | 出馬表にそのまま載っている項目(馬番・馬齢・斤量・馬体重・性別・東西・ブリンカー・JRA-VANのデータマイニング予想順位)と、過去の成績から計算して作る33項目(前走・前々走・3走前の着順、前走の人気・オッズ・上がり3F・着差・4角位置、休養日数、近3走・近5走の平均着順、通算の勝率・連対率・複勝率、同距離帯・同芝ダ・同競馬場の複勝率、騎手と調教師の過去1年の勝率・複勝率、乗り替わり、馬体重と斤量の増減、本賞金など)。レース側は競馬場・トラック・距離・出走頭数・競走種別・クラス・重量種別を見ます。どれを使うかは開発側で検証した推奨値が全利用者に配られます。 |
| 目的変数 (もくてきへんすう) |
当てにいく「答え」 | 着順ランク/1着になったか/2連対したか/3連対したか、の4つ。4つを別々に学習します。 |
| モデル | 学習でできあがった数式のかたまり | 目的変数ごとに1つずつ、計4つ作られます。 |
| アルゴリズム | 学習のやり方 | 勾配ブースティング(LightGBM)。「はい/いいえ」の枝分かれ(決定木)を少しずつ積み重ねていく方式です。 |
「計算して作る特徴量」について
競馬のデータは、1行がそのレースのその馬ぶんです。「前走はどうだったか」「この騎手はこの1年でどれだけ勝っているか」は、その行には書かれていません。そこでKeibaFactorAIは、学習の前に同じデータベースの過去の行をたどって、馬ごと・騎手ごと・調教師ごとの成績を計算し、1行に書き足してから学習します。人が出馬表と過去のレース結果を見比べてやっていることを、機械的に全馬ぶん行うわけです。
| まとまり | 計算して作る項目 |
|---|---|
| 前走・近走 | 前走の着順・人気・オッズ・出走頭数・上がり3F・着差・4角位置、前走からの距離差、芝ダ替わり、前々走・3走前の着順、休養日数、近3走・近5走の平均着順、近3走の最高着順、近3走の平均人気 |
| 通算成績 | 出走数、勝率、連対率、複勝率、獲得本賞金 |
| 条件別の相性 | 同じ距離帯・同じ芝ダート・同じ競馬場での複勝率 |
| 騎手・調教師 | 過去1年の勝率・複勝率・騎乗数、乗り替わりかどうか |
| 当日の変化 | 馬体重の増減、斤量の前走との差 |
| レースの格 | 1着本賞金 |
学習の進み方
ざっくり言えば「予測してみる → 答え合わせ → ずれた分を直す」の繰り返しです。
まず雑に予測
最初のモデルは当たりません。全馬に似たような点を付ける程度です。
答えと比べる
実際の着順と見比べて、どの馬をどれだけ間違えたかを測ります。
間違いを直す枝を足す
間違えたレースを説明できる枝分かれを1本足します。これを何千回も繰り返します。
行き過ぎる前に止める
直しすぎると過去だけに詳しい「暗記」になるので、途中で改善が止まったらそこで打ち切ります。
| 設定 | 意味 |
|---|---|
| 学習回数 | 枝を足す回数の上限。初期値2000回。多いほど細かく覚えますが、暗記に近づきます。 |
| 早期打切り | この回数ぶん改善しなくなったら学習を止める、という歯止め。初期値50回。 |
| 学習率 | 1回ごとにどれだけ直すか。初期値0.05。小さいほど慎重に、ゆっくり学びます。 |
| 葉の数 | 1本の枝分かれの細かさ。初期値31。大きいほど複雑な条件を表せますが、暗記しやすくなります。 |
「ちゃんと学べたか」の確かめ方
学習に使ったレースで答え合わせをしても、暗記した答案を採点するようなもので意味がありません。そこで学習期間の後ろ2割は学習に使わず、答え合わせ専用に取り分けています。
| 検証 | 取り分けたレースで、1着的中率と3連対率を測ります。 |
|---|---|
| ベースライン比較 | 競馬は単勝1番人気の馬がおよそ3回に1回勝つ競技です。そのため「常に単勝1番人気を本命にする」だけの成績を必ず並べて表示します。これを上回れなければ、AIを使う意味がないからです。あわせて、JRA-VANのデータマイニング予想1位を本命にした場合の成績も並べます。 |
| データの欠け | 予測する日のデータに抜けがあると精度が落ちるため、欠測の割合もログに出しています。 |
AIの「予測」とは何をしているのか
学習でできたモデルに、その日の出馬表を1頭ずつ通すだけです。返ってくるのは順位ではなく点数で、その点数を高い順に並べたものが ◎〇△×56… になります。
4つの見方で予測する
| 予測するもの | 何が分かるか |
|---|---|
| 着順ランク | 出走馬の中での強さの序列。1位から18位までの並びを直接学習したものです。1位と2位が僅差なのか断然なのかが分かるよう、順位だけでなく元の点数も残しています。 |
| 1着確率 | その馬が1着になりやすいか。単勝と、馬単の頭を決めるときの判断材料です。 |
| 2連対確率 | 2着までに入りやすいか。馬単の相手(〇△×5)を選ぶときに使います。 |
| 3連対確率 | 3着までに入りやすいか。 |
4つは別々に学習した別々のモデルです。だからこそ、4つの見方が同じ馬を指しているレースは信頼でき、バラバラのレースは危ない、という判断ができます。ソフトではこの一致の度合いを「AIモデル一致度」として点数にしています。
予測から「レース診断」へ
予測はあくまで材料です。KeibaFactorAIは、その材料を組み合わせて「このレースは買う価値があるか」まで判断します。
| 診断項目 | 予測から、どう計算しているか |
|---|---|
| 予測容易度 | 1位と2位の点差が大きいほど高くなります。実力差がはっきりしているレースです。 |
| AIモデル一致度 | 4つのモデルが同じ馬を上位に置いているかどうか。 |
| AI信頼度 | 一致度と、その競馬場・レース番号の過去データの多さから求めます。 |
| 波乱度 | 16頭以上の多頭数か、障害レースか、新馬・未勝利戦か、ハンデ戦か、馬体重の増減が大きい馬がいないか、上位5頭の予想タイムが団子状態でないか、といった荒れやすさ。 |
| 妙味 | AIの本命と、JRA-VANのデータマイニング予想1位との食い違いの大きさ。食い違うレースは「人気の盲点」になりえますが、そのぶん当てにくくもあります。 |
| 総合評価・判定 | 上の項目に重みを付けて足したものが総合評価(S〜D)。しきい値で「買い/様子見/見送り」を決めます。 |
守っているルール
AIの予測は、作り方を少し間違えるだけで「過去を振り返れば当たっているのに、本番では当たらない」という状態になります。それを避けるために、次のことを徹底しています。
答えを見て学習しない
学習に使うのは、予測する開催日の前日までのレースだけです。予測する日の結果は、たとえ手元にあっても学習には混ぜません。
当日しか分からない項目を使わない
最終オッズや最終人気は、前日の予測時には入りません。これを学習に入れると、前日の予測時だけ材料が欠けた状態になるため、推奨の特徴量から外しています(「単勝1番人気」との比較にだけ使います)。
結果が混ざる項目を外す
レースが終わってから決まる「脚質判定(逃げ・先行・差し・追込)」は、結果そのものです。入れると成績が良く見えますが、実戦では役に立たないため、候補からも外してあります。
AIにできること・できないこと
できること
何千レース・何万頭ぶんもの傾向を、感情や体調に左右されずに同じ基準で当てはめること。そして「このレースは条件が揃っていない」と買わない判断を淡々と出すことです。人が土日の全レースを同じ精度で見続けるのは困難です。
できないこと
結果を当てることの保証はできません。AIが出すのは確率であり、確率が高いレースでも外れます。出遅れ・不利・馬場の急変・馬のその日の気配など、データに現れない要素も競馬には多くあります。
正直にお伝えしておくこと。競馬は単勝1番人気の馬がおよそ3回に1回勝つ競技で、「常に単勝1番人気を本命にする」だけでもかなりの的中率になります。オッズには多くの人の予想が織り込まれているため、これは非常に強いベースラインです。開発では毎回この数字と並べて検証しており、これを安定して上回ることを目標に改良を続けています。的中率や利益をうたうことはいたしません。
本ソフトは判断材料を提供するものであり、購入の判断はご利用者ご自身で行ってください。公営競技には損失の可能性があります。
用語のまとめ
| 学習 | 過去のデータから規則性を見つけて、数式(モデル)を作る作業。 |
|---|---|
| 予測 | できた数式に新しいデータを通して、結果を見積もること。 |
| 特徴量 | AIに見せる判断材料の項目。前走着順、騎手の勝率、斤量など。 |
| 計算特徴量 | 出馬表には無く、過去のデータから計算して作る特徴量。近走の平均着順や騎手の過去1年の勝率など。 |
| 目的変数 | 当てにいく答え。着順ランク、1着確率など。 |
| モデル | 学習の成果物。特徴量を入れると点数を返す数式のかたまり。 |
| 過学習 | 過去のデータを暗記してしまい、新しいレースでは当たらなくなること。 |
| 検証 | 学習に使わなかったデータで答え合わせをすること。 |
| ベースライン | 比較の基準。ここでは「常に単勝1番人気を本命にする」買い方。 |
| データマイニング予想 | JRA-VANが配信している予想。KeibaFactorAIでは特徴量のひとつとして使い、「妙味」の計算にも使います。 |
| リーク | 本番では使えないはずの情報(答えなど)が、学習に混ざってしまうこと。 |
| 勾配ブースティング | 枝分かれの判断(決定木)を少しずつ積み重ねて精度を上げる学習方式。LightGBMはその実装のひとつ。 |
KeibaFactorAIの機能を見る
学習と予測のしくみが、実際の画面でどう使えるのかは製品ページでご確認いただけます。